カブ70のエンジンの魅力。横型の異端児ショートストローク72ccのフィーリング

今回はカブ70のエンジンのフィーリングについての話です。

比較対象は主にキャブレター時代の50ccと90cc(乗った事があるだけで所有した事は無い)、ついでに横型繋がりで長年乗ってるモンキーです。

カブ70のスプロケを高速巡航仕様に替えてからパワーバンドをより明確に感じるようになりました。

スプロケの記事はこちら↓

カブ70のスプロケ交換
今回はカブ70が幹線道路を70キロ位で巡航する時に高回転になり過ぎるのでスプロケを交換した話です。 キャブ時代のスーパーカブ、通称鉄カブは...

ホンダ横型兄弟の異端児、横型の癖にショートストロークの70にはパワーバンドがあります。

いや、パワーバンドなんて全てのエンジンにあるので正確には、他の横型よりパワーバンドを感じやすい、という意味です。

ショートストロークといえば高回転域こそ本領発揮のステージです。

元々、大口径ポートやピストンスピード抑制など、高回転化の為に考えられた機構がショートストロークです。

一方、一次クラッチによるクランクマスの増大や長めの吸排気系など随所に低中速トルク型としての設定がなされた横型エンジンシリーズ。

この対極の組み合わせ。

これがどんなフィーリングになるのか?が気になった、というのも敢えて90でなく70を買った理由でもあります。

そのフィーリングは

・レスポンスはのんびりなんだけど、上がどこまでも伸びる旧英車感。

クランクホイールマスのお陰で低回転でも粘るのでのんびり走りたい時でもスポーツ系エンジンみたいな我慢感が無い。

2スト程じゃないけどパワーバンドで一気に加速し始めると非日常感が盛り上がる(ロングストローク系と1番違うのはこれですね)。

って感じですかね。

ロングストローク系の50や90の極低回転から可愛いトルクでトコトコ引っ張ってくれる感じも好きなんで、楽しさの種類が違います。

ロングストロークは純粋なトルク型エンジンですね。

自分にとっては、思い切りパワーバンドを楽しんでも、赤いラブレターを戴くような速度にならないってのが1番の恩恵です。

その為には90ccじゃ速過ぎるし、50ccじゃ一般車の邪魔になる程遅いので、安堵と興奮を両立出来る二面性を持った70はかなりジャストフィットです。

あくまでも流れの速い幹線道路での話ですけどね。

ゆっくりトコトコだけを追求するならロングストロークの方が良いと思います。

トコトコしたまま、どこでも走れるトルクがあるので。

70の低回転のトルクはどこでも走れるという程強くはありません。

また、パワーバンドの爆発感を求めるなら頑張って程度の良い2スト中古車を探すのが1番です。

悪く言えば中途半端だけどバランス良くいいとこ取りをしたのが横型72ccだと思います。

カブが実用車だという事を考えれば、ゼロ発進の瞬間から太いトルクがあり、そのままフラットなトルク特性で法定速度+αまで伸びていく、というパワーカーブが理想的だし、ストップ&ゴーの連続する街中では結果的に早いと思います。

だから看板商品の50と黄色ナンバー上限の90はロングストロークにしてそういう特性にしたんでしょうね。

70は簡単に言えば90のピストンと50のクランクのコラボです。

正確にはコンロッドが太い等全く同じじゃないんですが。

でも使い回せる部品も多いのでホンダとしてはコストダウンという狙いもあったでしょう。

それに、失敗出来ない50と違い、ショートストロークにしたらどうなるんだ?という冒険の意味もデカかったと思います。

冒険とは、エンジン特性が高回転型になるのは分かりきってるので、市場の反応を見たい、という意味です。

ビジネスバイク、通称ビジバイの世界も一種のレースです。

100キロ、1000キロなんて短距離のレースじゃなく、10年間で10万キロ走る間にどれだけ壊れずに走りきれるか?という壮大な耐久レースみたいなもんかな、と思います。

僕個人の意見としては街乗り、しかも細かい路地裏がメインステージなのに高回転型エンジンにしたのは完全に失敗です。

街中ではストップ&ゴーの繰り返しです。

高速域で伸びるより発信加速が速い方が到着時間は短縮出来ます。

ならロングストロークの方が低速トルクがあるので実用車としての性能で言えば70より90の方が合ってると思います。

ただ、これは実用面だけを考えた場合です。

低速トルクが無いと言っても、50ccのように遅い訳じゃ無いし、路地裏で、のんびり加速する程度なら充分かな、という程度の力はあります。

70の魅力は実用車なのに高回転域に違う顔を持ってる二面性でしょう。

勿論、社外パーツでカスタムすればカブのエンジンなんてどうにでもなりますが、ホンダがこれを作ったってのが面白いです。

本田宗一郎が怒鳴り散らしてた頃のホンダは今のホンダとは違う会社のようです。

本田宗一郎は、こんなに面白くなると分かってて70を作ったんでしょうかね?

だって商売としては70の存在意義って殆ど無いですよね。

特にカブ90が出来た後は。

それ以前から54→63→72ccと色々な排気量を試して走る実験室にしてたのかも知れませんが。

それでも70を存続させたのは

もしかしたら本田宗一郎は自分が乗って遊びたいから70を作らせたんじゃないか?と思っちゃいます。

まだ現役だった頃の本田宗一郎は、自分でも良くバイクに乗っていたそうですから。

勝手な想像ではありますが、そう思えるくらい、横型兄弟の中で70は異質な魅力があります。