100%化学合成油?その表記を信じますか?

いきなり妙なタイトルですが、今回はエンジンオイルのパッケージの表記の話です。

僕はオイルメーカーの社員でもないし、化学者でもありません。

今回の話に出てくるオイルの知識は、行きつけのバイク屋さんに来るワコーズの営業さんや、あちこちのプロショップやレース屋さん等から聞いた知識です。

ネット書き込みのような正体不明なネタは入ってません。

今回の概要は100%化学合成と書いてある割には妙に安いオイルがあり、正体は鉱物油だと言う話です。

では本編です。

エンジンオイルの規格には色々な分類方法がありますが、ベースオイルについて分類した規格にAPIベースオイル分類というのがあります。

APIは米国石油協会の略。

ベースオイルとは大元の原油を精製してベースオイルという物を作ります。

このベースオイルに洗浄剤、粘度指数向上剤、酸化安定剤などいろんな添加剤を混ぜてエンジンオイルになります。

ベースオイルと添加剤の割合は8:2とか9:1位が多いようです。

ベースオイルが大部分ですね。

この割合はベースオイルの性能が良ければ、添加剤が少なくて済みます。

添加剤というのは必要な物だけど、オイル本来の潤滑の仕事はベースオイルの役目です。

しかも添加剤はベースオイルより先に劣化する事も多々あります。

すると、ベースオイルの性能が低いと、添加剤がたくさん必要。

添加剤は劣化が早い。

しかも添加剤が多いと、本来の潤滑の為には1番大事なベースオイルの割合が減る。

という悪循環になるので、理想的には高性能なベースオイルになるべく多くの仕事を任せて、添加剤は必要最小限にしたい所です。

ただし、高性能なベースオイルはコストがかかります。

コストは抑えて添加剤を増やし、エンジンオイルとして最小限の性能を備えた製品を安く売る。

安ければ大量に売れる。

その方が企業としては儲かる。

エンジンオイルとしての性能が低くても、すぐにエンジンが壊れる訳じゃない。

しばらく走ってエンジンが壊れたとしても走行距離や走り方のせいにすればいい。

これが安いエンジンオイルの現実ですが、エンジンといえど所詮は消耗品なので、高いオイルを入れてもいつかは壊れます。

ただ、気に入ったバイクをある程度長く乗ろうと思っているなら、エンジンをオーバーホールする金額に比べれば、値段の高いオイルを入れた方が遥かに安くつきますけどね。

値段が高いと書きましたが、値段が高くてもダメなオイルもありますが、安くて高性能なオイルはありません。

そこでオイルの選び方です。

エンジンオイルには鉱物油、半合成油(部分合成油)、化学合成油があります。

鉱物油とは原油を精製して不純物を取り除いた物、

化学合成油は分子構造自体を化学的に変化させてエンジンオイルとしての適性を向上させた物、

半合成油は鉱物油と化学合成油を混ぜた物です。

ここで冒頭に話したAPIベースオイル分類の話です。

この分類ではグループで5つに分類されています。

グループ1と2が鉱物油、4と5が化学合成油。

簡単に言えば、グループ5が最も高性能だと思って下さい。

問題はグループ3です。

本来なら半合成油(部分合成油)が入るポジションです。

が・・・

このグループ3はカストロールとモービルが争った裁判によって解釈が複雑になってしまいました。

2000年頃の話です。

カストロールが高度水素化分解精製油(別名:ハイドロクラッキングオイル・VHVI油・グループIII基油と呼称される事もある)を化学合成油と銘打って販売しました。

モービルが「それは鉱物油だろ!」と文句を言ったので裁判になりました。

が!

裁判はカストロールが勝ってしまいました。

その結果、「鉱物油だけど化学合成油って書いてもいいよ」みたいな曖昧な感じになってしまいました。

混乱その1です。

ただし、日本では、ですが。

欧米諸国ではグループ3は鉱物油と表記しなければならないようです。

混乱その2です。

しかも最近ではグループ3は鉱物油だけど化学合成油並みの性能を有する製品もある、と言ってるエンジンオイルメーカーもあるし。

混乱その3です。

今じゃ、モービルまでグループ3を化学合成と書く始末。

カストロールに至っては全合成とかいう、混乱を面白がってるかのような書き方まで始めました。

因みに、僕が俄信者やってるワコーズではプロステージまでがグループ3に近い精製方法だそうです。

トリプルアール以上は化学合成の製法に近いそうです。

ワコーズの精製方法は、API分類とは違う部分も多く”近い”という表現しか出来ないそうです。

何だかワコーズのエンジニアの溜め息が聞こえてくるようです。

僕がエンジニアだったら

「規格とか表記とかグループ分けとか下らねえ事で騒ぎやがって。

要は、騙して楽して稼ぎたいだけじゃねえか。

そんな馬鹿共とは無関係に俺は良い物を作るぜ」

と思うでしょうから。

規格に縛られてる4CTより

規格表記は出来ないけど、自由に作れる4CRの方が優れてる。

更に言えば、条件次第ではプロステージの方が優れてる部分もある。

と、こっそり教えてくれたバイク屋の店長。

隣には苦笑いしながら否定しないワコーズ営業さん。

ワコーズ製品の場合はカタログに書いてある売り文句そのままの使い方をすれば、コスパが高いって事ですかね。

グループ3の話をもう少し。

たまに量販店とかで、やたらと安い100%化学合成油とかありますよね。

そういうのは大抵グループ3です。

普通に街乗り程度なら良いけど、本格的なスポーツ走行とか、高回転維持とかはやめた方が良いです。

すぐに壊れはしないけど、長持ちはしません。

とは言え、グループ1や2の鉱物油よりは高性能なので程度問題ではあるんですが。

本当に愛車を大切に長く乗り続けたい、コイツが俺にとって最高のマシンだ!乗り換える予定なんか無い!

という人は、是非とも最高のオイルを入れてあげて下さい。

じゃあ、最高のオイルってどれだよ?

って事になりますね。

無難な答えじゃ、メーカーの公式コメントみたいになるので、反論が沢山ある事を承知で個人的な意見を言います。

因みに僕はワコーズが好きなので偏った意見だと自覚してます。

もし僕がリッターとか600とかの高回転系のSSを買ったら、迷い無くモチュール300Vです。

おい!ワコーズどうした?って感じですね。

知ってる人も多いと思いますが、ワコーズのトリプルアールは良いオイルです。

油膜が厚いのでシフトフィーリングもトルク感も良くて、レスポンスも4CRには負ける程度には良いです。

4CRより耐久性は上です。

ワコーズではトリプルアールの開発段階でモチュール300Vのフィーリングを目指したそうです。

と同時に商品競争力を上げる為に価格は下げる。

ただ、価格を下げる為には何かを削っています。

ワコーズの営業さんに何を削っているのか聞いた事がありますが「ベースオイルのエステルは種類が沢山あります。ワコーズでは独自の物を使っています。」としか漏らしてくれませんでした。

ベースオイルに安い物を使ってるんだと思います。

SS系バイクはパフォーマンス命です。

メーカー出荷時点で、殆どレーサーだろ、というレベルのハイチューンが施されています。

当然ゆったり系エンジンに比べたら消耗は早いです。

だからオイルもレースレベルの物を使う。それだけの事です。

もし、サーキットに遊びに行くなら、その時だけレスポンス重視で4CRを入れたりとか楽しそうです。

今は、空冷シングル小排気量が好きなので、そういうバイクばかり持ってます。

空冷シングルはエンジンの中の色んな音が聞こえて楽しいので。

その代わり、空冷はオイルが汚れるのが早いです。

クリアランスがデカいので当たり前ですが、水冷より早く燃料希釈したりします。

その為、大抵の空冷のオイル交換サイクルのメーカー指定は水冷より早めです。

ノーマルエンジンならまだしも、空冷のチューニングエンジンで鍛造ピストンだったりすると、メーカー指定の半分以下のサイクルでもいいんじゃないかと思う事もあります。

つまり1000〜2000キロ位で交換するという意味です。

ここでワコーズのラインナップから選ぶなら鋳造ピストンならトリプルアール、鍛造ピストンならタフツーリングとか、回し加減によってはダブルアールとか。

ダブルアールは油膜強度は最強ですが、4CR以上に競技用の性格が強いのでストリートで使うなら、かなり早めの交換が必要です。

ただその分、安心出来ると思えば安いもんです。

最近のワコーズに4CR-SSというリッター¥5000の高級オイルがありますね。

スプリントレースでタイム出すには良さそうですが、ラインナップされている粘度が低めなので、最近の水冷SSのスプリント用って位置付けでしょうね。

一回のお試しとしては面白そうですが、耐久性を考えると、ずっと使う気にはなれません。

では、そろそろまとめます。

自分の愛車に入れる最高のオイルは現時点では300Vとダブルアールとタフツーリングとトリプルアール。

少し硬めの似たような粘度の物を全部入れてみて、1番楽しかったヤツで良いと思います。

オイル弄りもあくまで趣味ですから、入れた後、定期的にフィラーキャップからオイルを少し取って指先でネチョネチョして匂い嗅いで、オイルへの愛を深めましょう。

良いオイルって良い匂いがします。

さっきからMOTUL300Vの名前が何度も出てくるのも匂いが良いからです。

まぁ、ちゃんとした実走インプレは別記事で。

300Vはメロンソーダみたいな甘い匂いがします。見た目も緑だし。

いつか最高級のエステル系オイルを風呂に入てエステル湯を満喫したいものです。オイル変愛者としてはホントは飲みたいんですけどね!(^^)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. たけみまり より:

    ワコーズはブレンダーですから、ベースオイルの精製はできませんよ。
    どのgroupにも属さないオイルはありません。

    それに開発はワコーズオリジナルでも、実際に製造を請け負っているのは専門メーカーです。