今回は鍵穴のメンテの話です。
雨の日にハンドルロックが動かなくなった事ないですか?
ハンドルロックと言ってもメインキーに一体型のタイプじゃなくて、こんな感じに
三ツ又の下に付いてるタイプです。
一体型のヤツはそう簡単に動かなくならないはずです。
理由は三ツ又の下側
(正確にはアンダーブリッジとかボトムブラケットとか呼び方はいくつかある)
に付いてるタイプの方がゴミが入りやすいから。
雨の日にハンドルロックしようと思って
鍵を差し込んだら回らない⁉︎とか
回る事は回ったけど鍵が抜けない⁉︎とか
え!なにこれ?
って状況になる事があります。
そんな時に思い出して欲しい事は、
「力ずくでやっちゃダメ!!」
この時、キーシリンダー(鍵が入る穴側の部品)の中に泥や埃が入り、中にある回転する部品の間に挟まっちゃってます。
この部品はいくつもの小さな部品が集まって鍵の溝に合わさる事で回転する仕組みになってます。
砂が挟まって回転しない状態(鍵がかかってる状態)の鍵穴を力で回そうとしたら壊れます!
雨の日に起こりやすいのは、車体に付着した泥や埃が雨水と共に車体を伝ってキーシリンダーに流れ込み、内部の細かな部品がフィルター替わりになって、水分は素通りして大きめの砂粒が残りやすいからです。
メインキー一体型のトップブリッジに付いてるタイプは上の方に付いてるので雨が直接当たるだけなので起こり難いんです。
もし、出先で雨に降られてハンドルロックのキーシリンダーが回らなくなったら、応急処置として、ペットボトルの水があればキーシリンダーの穴の中に流し込みましょう。
部品の間に挟まった砂粒を流す事が目的なので、ペットボトルの半分くらい注ぎ込んで、もしキーが回るならキーを180度回してからもう一度注ぎ混みます。
水があればベストですが、例えばコーラみたいなベタベタする物しか無かったら、後でちゃんと清掃する前提でコーラでも可です。
ただし、その場合は清掃するまでハンドルロックは使えません。
もし、液体物が何も無かったら最終手段は唾です。
なるべく沢山、鍵穴に注入して鍵を力を入れずに軽くカチャカチャと何度も回しましょう。
上手くハンドルロックが外れたら、清掃するまでハンドルロックは使わないようにしましょう。
では、キーシリンダーのメンテの方法に移ります。
大きく分けて3段階です。
水洗い、パーツクリーナー、注油です。
このどれか一つだけでも短期間なら効果はあります。
特に、雨の日に乗らないならしっかりと汚れを落とすだけでも充分です。
最後の注油のパートで高価なケミカルも使いますしね。
ではひとつずつ説明します。
水洗いはキーシリンダーの奥まで大量の水をホース等でブチ込んで下さい。
大きめの砂粒を全部洗い流すのが目的です。
これだけでもキーはスムーズに回るようになります。
鍵穴だけでなく、キーシリンダーの上側のロックピンがスライドする部分にも水をかけましょう。
キーを回しながら、何度も水を注ぎ込んで下さい。
これで大きめの砂粒や埃は落ちました。
でもまだ、油分を含んだベトベトした埃がキーシリンダーの奥の方に残ってます。
このベトベトが残ってると、新しく埃が入って来た時に吸着しやすくなっちゃいます。
そこでパーツクリーナーです。
鍵穴とロックピンの穴にパーツクリーナーを吹き込みます。
この時、サイドスタンドを掛けていると車体は左側に傾いてます。
これだとキーシリンダーの奥に溜まった汚れを含んだパーツクリーナーが流れ難いので、手で車体を垂直に起こしてやりましょう。
奥の方から黒い汚れが流れ出して来ます。
パーツクリーナーを多めに吹き込んで黒いのが透明になって来たらオッケーです。
パーツクリーナーが乾いたら最後のパート、注油です。
ここで今回の最大の注意点があります。
普通の潤滑油じゃダメなんです。
金属同士が擦れ合う部分なので当然潤滑としても防錆としても何らかの被膜があった方が良いんですが、
内部の細かい部品に油が付いてベタベタになると埃や砂粒がくっ付きやすくなります。
その状態で雨の日に走ると、またキーシリンダーがロックしちゃいます。
被膜は作るけど、ベタベタにならないケミカルが必要です。
色々試しました。
耐水系のスプレーオイルは水で流れないように粘度が高めだったので砂粒を吸着しました。
ベタベタしない系のシリコンスプレーは雨水で簡単に流れちゃいました。
これらを数種類試した挙句、辿り着いたのがコレ!
ワコーズのフッ素オイル105。
これが良いってのは行きつけのバイク屋で聞いてたので知ってはいましたが、値段が高いのでずっと二の足を踏んでました。
でも他のが全部ダメだったんで、しょうがなく買ったんです。
そしたら・・・確かに良い。
雨の日に何度も走りましたが、普通の道を走る限り、そう簡単にキーシリンダーがロックする事はありませんでした。
唯一、雨の日に未舗装路を長距離走ると言う、ロクでもないことをした時に一目見て分かる程泥まみれになり、見事にキーシリンダーもロックしました。
いつものようにワコーズの営業さんに聞いた所、
「缶にはオイルと書いてありますが金属表面にフッ素が吸着して被膜を作るので、一般的な油脂分の被膜を作るオイルとは根本的に違います。鍵穴用途としては現時点ではベストな選択だと思います。因みに、フロントフォークのインナーチューブやキャブのスライドバルブみたいにサラサラ系が良い部位には大体使えますよ。」
との事。
早速ドリームのフロントフォークにも塗ってすこし走ってみました。
それまでシリコングリスを薄く塗ってたんですが、走った後フォークをボトムさせてインナーチューブに付く黒い汚れがこっちの方が少ないですね。
ちょっと高いけど、耐水性があって埃がくっ付かない防錆潤滑油としては今んとこベストかな?と思います。
雨の日とかキャブのスライドバルブとか、もっと長期間使い込んでみて、このワコーズのフッソオイル105が値段相応の価値があるのか?記事にしてみたいですね。
それじゃ今回はこの辺で。